第6話「電話をかけろ!?未知との会話ゾーンへ突入」

第6話「電話をかけろ!?未知との会話ゾーンへ突入」

“見えない相手”との対話

「次は、電話をかけるんだ」

NEETレベルアップノートの新しいページに、簡潔にそう書かれていた。

– 店や役所などに電話をかけて3分間会話する(15pt)

電話。
それは、白崎直人にとって最も“やりたくないこと”の一つだった。

理由は明確だ。
相手の顔が見えない。
反応がわからない。
話すタイミングも、声の抑揚も難しい。

ましてや、最近ではLINEやメッセージが主流。
若者の中でも、電話が苦手な人は多い。

「……俺には、ムリかも……」

布団の中でそう呟きながら、直人はスマホの電源を入れた。


電話の練習をする

鏡の前で、直人は練習していた。

「お、お世話になっております……」

「……予約の確認をしたいのですが……」

電話の“型”を調べ、文章を覚える。
だけど、どうしても自分の声が不自然に聞こえてしまう。

「誰かに聞かれてるわけでもないのに、なんでこんなに緊張するんだよ……」

それでも彼は諦めなかった。

初歩の練習として、まずは“自動音声”に電話をかけてみることにした。

コールセンターの音声ガイダンス、病院の予約システム。
相手が人間じゃないとわかっていても、受話器を持つ手は震えていた。


初めての実戦:病院への電話

最終的に直人が選んだのは、地元の内科クリニックだった。

「風邪の症状で診てもらいたい、と仮定して……」

電話番号を押す指が震える。
画面に「発信中」と表示される。

1コール、2コール……

「はい、○○クリニックです」

「……し、白崎と申します……」

息が詰まりそうだった。
けれど、用意していた台本どおりに言葉をつなぐ。

「○○日の午前中で……診察の予約をお願いしたいのですが」

「はい、承知しました。保険証はお持ちですか?」

「は、はい……あります」

会話は、なんとか成立した。
所要時間、約2分40秒。

だが、直人には5分にも10分にも感じられた。

「……終わった……ちゃんと話せた……」


NEET-Xからのメッセージ

その夜。
インターホンに録画されたNEET-Xの映像。

「やったな、直人。
見えない相手と会話するのは、実際に“見られる”よりも難しい。

だが、お前は超えた。これは、成長の証だ」

画面のクロウは、微かに笑ったように見えた。


15ポイントと確かな自信

– 電話をかけて3分間会話(達成:15pt)

ノートに書き込み、ポイントは累計60ptに到達した。

「60……もう、引きこもってた時の俺じゃない気がする……」

彼の心には、確かに“何かが変わり始めた”手応えがあった。


次回予告:「エントリーシートを書く!言葉で自分を表現できるか?」

言葉にすること——

次なるチャレンジは、自分自身の“文章化”。

エントリーシートという壁に、直人はどう立ち向かうのか?

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