第8話「面接!?人と目を合わせて話す試練」

第8話「面接!?人と目を合わせて話す試練」

対面という名の敵

「次は、面接だ」

NEETレベルアップノートに記された次なる挑戦。

– 面接を受ける(25pt)

白崎直人の背筋に、冷たい緊張が走った。

これまで、外出・買い物・会話・電話・ES作成と積み重ねてきたが、“対面で話す”ことは次元が違う。

目を合わせる。
声を届ける。
相手の表情を受け止める。

それは、彼にとって最も避け続けてきた“社会との正面衝突”だった。

「できる気がしない……けど、逃げたくない」

直人は再びノートを開き、小さく深呼吸した。


クロウから届いた日程

その日の午後、ポストに1枚の紙が届いていた。

『職場体験面接のお知らせ』

日時:翌週月曜 10:30〜
場所:市内中小企業サポートセンター 会議室
服装:自由(スーツでなくても可)

「あと3日……」

直人は時計を見つめ、時間が押し寄せてくる感覚に息苦しさを覚えた。

だが、これまでの経験が脳裏をよぎる。

あのコンビニ。
あの雑談カフェ。
あの病院の電話。

「……全部、できたじゃないか」

そうだ。
完璧じゃなかった。
でも、確かに前に進んできた。


面接会場へ

当日朝——。

直人は、白のシャツに黒いパンツというシンプルな服装で家を出た。

髪は整えた。
書類も入れた。
緊張はある。
だが、足取りは確かだった。

会場に入ると、待合室には同じような体験希望者が3人ほどいた。
皆、黙ってスマホをいじっている。

「俺だけじゃないんだ……」

そう思うと、少しだけ安心した。


面接開始

「白崎さん、どうぞ」

呼ばれて入った会議室には、面接官が2人。
40代くらいの男性と、30代の女性。

「よろしくお願いします……」

声が震えるのを自分でも感じた。
だが、逃げなかった。

「ではまず、志望の理由を教えてください」

「あ、はい……僕は、これまで……」

話し始めると、自然と言葉がつながっていった。
用意していた内容。
けれど、ところどころ詰まりながらも、直人の言葉で語っていた。

「苦手なことも多いですが、挑戦してみたいと思っています」

それは、今の直人の本心だった。

面接官たちは、時折頷きながら聞いていた。
最後にこう言った。

「今日、ここに来たこと自体が、大きな一歩ですよ」

直人の胸に、何か熱いものがこみ上げた。


面接後の空

会場を出た直人は、ビルの前で空を見上げた。

雲が少しずつ流れていく。

「俺……受けたんだな、面接……」

心の中にある“自己否定の声”が、少しだけ遠のいていくのを感じた。


ポイント加算と次のステージ

– 面接を受ける(達成:25pt)

累計:105pt。

初めて、三桁の数字に届いた。

「……俺は、もう止まっていない」

そう呟いて、ノートを閉じた。


次回予告:「働く初日!社会に自分を置いてみる」

いよいよ“職場体験”本番。

果たして直人は、社会の中で、どんな居場所を見つけるのか?

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